ヨガ哲学って?

LIGHT WORKS WEB Magazine コラム:ヨガ哲学

何年も前の話になりますが、流行っていたのもあり何となくヨガに興味を持ち始めたころ、ひょんなことで知り合ったインド人の友だちがいました。彼は多忙なビジネスマンのため世界各国あちこち飛び回っていましたが、インドで幼少期からずっとヨガを習っていたそうで、日本に住んでいる時はもちろん、どこへ行っても毎朝のヨガは欠かさないと言っていました。

何度か彼にヨガを教えてもらうチャンスがあり、教えてもらったのですがその内容はといえば、寝転んだり坐ったりしたまま、ただ呼吸を意識して瞑想する、というものだったのです。
その頃の私は、何となくヨガというとポスターなどで見かける難しそうなポーズとか、フィットネス(ダイエット)で行うものという印象が強く、呼吸だけのヨガってなんだかツマラナイなぁと感じたものでした。
今から思えば彼はかなりのヨガマスターだったと思うのですが、当時の自分はそこまで理解が深められませんでした。

ここ最近ちらほら目にするようになった「ヨガ哲学」という言葉。興味を持って調べていると、その友人のことを思い出してしまいます。
彼は「ヨガはフィットネスじゃない。瞑想であり、自分をフラットにする、生きるために行う呼吸みたいなもの」とよく話していました。幼少期からヨガに親しんできた彼にとっては、ヨガをすることが呼吸をするように自然なことなのだろうなと思いました。

 

ヨガは心を制御する手段

ヨガってそもそも何だろう?ポーズをとることじゃないんだ?という疑問が浮かんできます。

みなさんご存知のとおりヨガはインドで生まれました。その由来は長い歴史のあるインド仏教や哲学と結びつきが強いものでもあります。ただインド仏教そのものは複雑な歴史や経典、体系、宗派がありますが、ヨガ自体は特定の宗派あるいは学派とのみ結びついたものでもなく、ヨガの本質は手段、技術であることとされています。
古典ヨガ学派の根本経典「ヨーガ・スートラ」は、ヨガを「心の作用の統御である」と定義しています。

LIGHT WORKS WEB Magazine コラム:禅(ZEN)でひといき。

 

ポーズをとる理由

ではなぜポーズをとるのか。心の作用を統御する、とはつまりもう少し砕けた言葉でいうと「自分自身の心を取り扱う、コントロールする」ということになりますよね。人は心のあり様で人生が変わるといっても過言ではありません。何を食べるか、何を買うか、どこへ行こうか…等々、毎日、心の要求にしたがった選択の積み重ねで生きています。
心が曇っていたり、ざわざわと不安な状態であれば本来するべき判断ができないこともあります。そこでヨガを使って、「心を本来の状態=一点の曇りもない空の状態」に持ってくるようコントロールします。
ヨガの基本のポーズは「瞑想」の姿勢をつくることですが、心がざわざわしていると、体もこわばり長時間座っていることができません。ヨガのポーズは“体のつまり”をとるとされているので、動かすことでつまりや滞りを流します。たくさんあるヨガのポーズは、さまざまな体のつまりに対応できるように考えられているんですね。

「ヨガ哲学」というと、難しいイメージかもしれませんがヨガを実践していくことで、心が本来の状態に近づき、生きやすくなるもの、と考えると素敵ですよね。普段からヨガをやっている方も、これからはじめてみようかなという方も「心の作用」を意識してみるとさらに面白いかもしれません。

参考文献: 「ヨーガの哲学」(講談社学術文庫)立川武蔵

この記事の著者

著者:石見幸子プロフィール画像

Sachiko(さちこ)

フリーランスのWEBディレクター/ライター
美容、コスメ、ファッション、健康食品など女性向けサイトの制作や運営に多数たずさわる。興味を持ったことは何でもトライして、浅く広く楽しむタイプ。好きなものはお酒、食べること全般、旅、音楽、アート、読書、映画、ゲーム、ジム通い。